1989年、岡山大学薬学部教授(現在岡山大学名誉教授)の山本らは、ラット消化組織粗抽出液を 酵素標品として用い、水溶液中で極めて安定なビタミンC誘導体「配糖化アスコルビン酸」を発見 しました。その後、酵素の同定(マルターゼ)、機器分析(HPLC、NMR、X線解析を含む)による 構造解析を経て、化学構造がL-アスコルビン酸2-グルコシド(AA-2G)と決定されました。
ビタミンC誘導体AA-2Gは、ビタミンCの構造の中の酸化還元に関する2位の水酸基にグルコース がα-配位で結合した化合物であり、酸素の攻撃を受けないため通常のビタミンCと異なり、酸化、 熱、光、水、重金属に対して極めて安定です。
AA-2Gは、生体に適用する(皮膚への塗布、服用など)と細胞、組織に存在する酵素によって ビタミンCとグルコースとに分解され、それぞれ栄養素として本来の作用を十分に発揮します。 そのビタミンC誘導体「AA-2G」は、体内に有害物を作らない理想的な物質でありこの高い安定性、 安全性が認められ、現在、化粧品や食品分野まで有益なビタミンCとして広く利用されています。
また、AA-2Gを用いた研究によりビタミンCには従来より知られている抗酸化、コラーゲン産生 促進メラニン産生抑制など、さらにサイトカインの誘導作用、抗体産生増強や神経突起伸張作用 などのほかに、新たにサイトカイン依存性作用のあることが発見されています。
ビタミンC誘導体(配糖体)AA-2Gの量産化を目的として株式会社 林原生物化学研究所(岡山市)と 共同研究を行い、Bacillus stear-othermophylus 由来シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ (CGTase)によりAA-2Gの大量生産が実現しました。